書評

『残酷すぎる成功法則』を簡単にレビュー

成功のイメージ



残酷すぎる成功法則』という本を読んだので簡単にレビューしてみます。

 

 

どんな本?

平たく言えば「自己啓発」と呼ばれるジャンルの本です。

ただ、普通の自己啓発書とは違い、「今までの自己啓発書にはエビデンス(証拠)が欠けていたので、エビデンスを基にして成功法則を語ろう」という趣旨の本です。

一つひとつの主張に論拠を示しているために紙の本は非常に分厚いです。私はKindle版で読んだのですが、本当にKindleにして正解でした。

 



本のよかった点

1.  翻訳の質

翻訳者の腕がいいのか全編を通して平易な言葉回しで書かれています。そのため、とても読みやすかったです。

 

2.  生活で活かせる知識

仕事や人間関係で活かせそうな知識がたくさん詰まっています。

「人間関係を優先するべきなのか、それとも仕事を優先するべきなのか」「上司にはどのように接するべきなのか」など私たちが悩みがちな問題についてある程度まで納得できる回答が示されています。

「しっぺ返し戦略」など即日常生活で使えそうな知識もあるのがいいですね。

 

3.  知識の整理に役立つ辞書

本書は、有名な研究(例えば、セリグマンの「学習性無力感」の議論)や近年のベストセラー(例えば、『GIVE & TAKE』)の知識を筆者の視点で体系化したものです。

そのため、自己啓発書や心理学について普段から見聞きしている人は、高確率で自分が知っている知識や議論に出くわすはずです。

もし、あなたがそうした知識を独自に体系化していないなら、本書はかなり役に立ちます。あなたがいくつかの本で断片的にかいつまんだ知識を整理し、日常生活で使いやすくしてくれるからです。

また、「そういえば、あの本にはどんなことが書いてあったっけ?」と思った時に本書を辞書替わりに使うこともできます。

 

4.値段

内容量に対して値段が安いのでお得感があります。Kindle版だと931円、文庫版だと990円です(Amazon調べ、2020年8月現在)。

本のイマイチだった点

1.たしかにエビデンスは示してあるが……

たしかに本書はエビデンスを示して成功法則を記述しています。

しかし、そのエビデンスが本当にソースとして信頼できる理由までは示していません。

例えば、先ほど例に挙げたマーティン・セリグマンの研究は、20世紀の研究です。したがって、既に古典と化しています。古典ということは、その研究に対しては別の研究者からの批判もあるはずです。

そうした後続の研究や知見も踏まえずに本書の内容を鵜呑みにするのは明らかに危険です。

 

「エビデンスを示す」というのは本書の売りです。

しかし、よくよく考えてみると、何かを主張する時に「エビデンスを示す」というのは当たり前のことです。ドヤ顔で本に書くようなことではありません。

 

2.著者はブロガー

それと、もう一つ気になったのが、筆者のエリック・バーカーは心理学の研究者でもなんでもなく、ただのブロガーであるという点です。

私もブログを書いているのでこんなことを言うのは気が引けるのですが、ブロガーの情報というのは基本的に信憑性が低いです。なぜなら、ブロガーは研究者のように特定の分野の権威でもなければ、情報を批判的に扱う訓練も受けていないからです(ブロガーに専門性があるとすれば、ライティングやマーケティングの技術、広告の知識、HTML・CSSコーディングの知識です)。

つまりブロガーが何かを書いてもしょせんアマチュアの域を出ないのであり、プロフェッショナルが発信する情報と同列で扱うのは危険なんですね。その辺の事情をよく分かった上で本書を読む必要があります。

 

3.無駄に長い

本が無駄に長いというのは、この本に限らず洋書全般に言えることなのですが……。

章ごとに有名人のエピソードが挿入されるせいで、とにかく読書に時間がかかります。

要点だけもう少し簡潔に述べて欲しいですね。

有名人のエピソードはエビデンスが当てはまるケースとして提示されているのでしょう。が、それならそれで、1人あたりのエピソードをもう少し短くして、複数のケースを示してほしかったです。そのほうが論に説得力が出ます。

 

本書を読む場合、最後に筆者の結論が載っているので、そこから読むとよいでしょう。読む時間をグッと短縮できます。

 

総合的に見ればいい本

総合的に見るとよくまとまっていていい本だと思います。思わずうなってしまう点も多く、単純に読み物として面白いです。

「成功」という曖昧で扱いづらいものについて情報を提供し、私たち自身が成功について考えるための道筋を作ってくれているという点で評価できます。

下手な自己啓発書よりは内容が濃いことに間違いはないので、本書を読むことをオススメします。あとはドラッガーやカーネギーを読めば自己啓発書は十分ではないでしょうか。

最後に著者が運営するブログを掲載しておきます。

 

ブログは英語ですが、補完的に読んでみるのはいかがでしょう?



ABOUT ME
てりたま
いつの間にかライターで生きるようになっていた人。真面目半分、不真面目半分で記事を書いてます。