脳は美をどう感じるか―アートの脳科学 (ちくま新書)を読みました。
「人はなぜ、美しいと思い、感動するのだろうか」というテーマのお堅い本です。
普段はあまり読まないタイプの本ですが、脳科学とアートを結びつけて論じている点が、興味深かったので購入しました。
個人的に特に面白いと思ったのが、「第五章 アートに習熟する脳」の部分です。
アートの話ですが、スポーツや趣味の上達にも広く応用できる話でした。
箇条書きで面白かったポイントをまとめてみます。
- 数週間程度の短期的な練習でも脳の構造が変化する
- 趣味程度でもいいから、続けることが大事
- 特定のスタイルへの習熟により「学習の転移」が妨げられることがある
- 作品を評価する時、素人は「旨さ」で評価し、プロ(専門家)は「オリジナリティ」で評価する
- プロは全体を見るが、素人は部分を見る
- アートや創造性には右脳が重要だが、左脳も深く関わっている
- 初級・中級者が技術を無理に言語化しようとすると、「言語隠蔽効果」により記憶が歪み、スランプや失敗の原因になる可能性がある
特に面白かったのが一番最後の項目です。
素人レベルで言語化するのは、上達にとって悪影響になる場合もあるんですね。
筆者曰く、言語化というのは「熟練した者だけに許された特権」なのだそうです。
私は練習の各所で適切な言語化をしていくのが上達の近道だと思っていたのですが、どうやら上達とは真逆の方向に突き進んでいたみたいです。
もやもやとした感覚のまま、「なんとなく、こうするとうまくいく」という生の感覚のまま、練習を継続していくことが上達にとって重要なんですね。
この本を読んだおかげで、趣味の練習スタイルが一新されたので本当に良かったです。
ぜひみなさんも読んでみてください。
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